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オマージュ

2005年09月26日 15:09

今回の『容疑者 室井慎次』はさてどんな邦画へのオマージュが隠されているのでしょうか?

まず君塚監督自らが語ってらしたり関連本に書かれているものはいくつかあります。

列挙してみます。

『県警対組織暴力』
『日本列島』
『鉄道員』(一連の高倉健さん主演映画か?)
『ブラックレイン』(邦画ではありませんが)
『怪獣総進撃』
『仁義なき戦い』
(まだもっとあったかもしれませんが私が把握しているのはこれが全てです。
補足していただけたら嬉しいです。)

これらは直接的に引用されているものではなく、作品の雰囲気だとか音楽の乗せ方だとかだけだと思っていました。

っが、それだけではないことが映画通の友人からのメールでわかりました。

9月20日の記事の回答です。
お待たせ致しました(笑)。
上記の記事コメントでも書きましたが、

私はどうして室井さんは小原弁護士に「君はよく食べるね」と言ったのか、一回目の鑑賞時から不思議でした。
小原弁護士は食べっぷりはいいですが、そんなに食べていませんもの。この台詞、そのままある映画の中で出てくるようです。

「君はよく食べるね」という台詞は、『砂の器』で丹波哲郎さん演じる今西刑事が森田健作さん演じる吉村刑事に言う言葉そのままなのです。
短い台詞ですので、こじつけだと言われたらそれまでなのですが、私はとても納得しました。
『OD2』でも使われた『砂の器』が今回も出てきたわけです。

二つ目は、「出所したらビール飲むんじゃないですか。ほら映画で見たことありますよ」という小原弁護士の台詞に出てくる「映画」というのは高倉健さん主演の『幸せの黄色いハンカチ』。
j_miyaさん、正解ですよね♪
出所したらビールを飲むというのは、何度か映画やドラマなどで観たように思っていたので、特定の映画を指すものだとは思っていませんでした。
『幸せの黄色いハンカチ』は映画館で観たのですが、私はこのシーンは綺麗に忘れてしまっています(^^;

『砂の器』は1974年の作品。
『幸せの黄色いハンカチ』は1977年。
どちらも70年代を代表する邦画だと言える秀作です。
今回のスピンオフでは、『交渉人 真下正義』で70年代の洋画、そしてこの『容疑者 室井慎次』では70年代の邦画へのオマージュが感じられます。
『容疑者』の時期2005年2月の新宿では街全体が『新宿祭 Back to 70's』というイベントをやっているという設定もあり、これはやはり友人の考察通り意識的に入れられた台詞だと思いました。

そしてもうひとつ教えて頂いたのが

室井が学生時代の女性を語るシーンは熊井啓の「日本列島」の宇野重吉。


ここからちょっと『日本列島』のネタばれになるので下げます。




『日本列島』
1965年の日活作品で、レンタルで探しましたがビデオ化すらしていない作品なのか、全く探し出すことが出来ませんでした。
さる友人の好意で観ることができた時は大袈裟ではなく狂気乱舞しました。

この映画の原作は吉原公一郎氏の『小説日本列島』らしいのですが、私はこの本は読んだことがなく、映画を観た時に思い出したのは松本清張氏の『黒い福音』でした。
これはもう30数年前に読んだので詳細は全く忘れてしまっていますが、実際にあったスチュワーデス殺人事件からヒントを得た小説であるということは強烈に覚えています。
映画『日本列島』はこの「スチュワーデス殺人事件」と戦後の混乱期に迷宮入りしてしまった「下山事件」なども踏まえたかなり重厚な社会派映画になっています。
勿論モノクロ映画なのですが、旧さを感じるよりもまずそのストーリー展開の面白さにぐいぐいと引き込まれて行きました。

警察と新聞記者の関係も、多分当時はこうだったのではないかと興味深く見ることが出来ます。
警察サイドに注目するならば、警視庁の刑事部長を演じた加藤嘉氏の演技が光ります。
『砂の器』でも名演でしたが、こういう役もまたぴったりと嵌るのが凄い。
余談ですが、加藤嘉氏に関しては『砂の器』を観た数年後に、ドラマ『白い巨塔』の大河内教授役を観てあまりの違いに驚いたものです。
刑事部長役はこの大河内教授の雰囲気に似たものがあり、長身痩躯のインテリ紳士を演じさせたら右に出る者がいないのじゃないかと今更ながら思いました。

現在でいうならば『容疑者 室井慎次』の品川徹氏、そして高橋昌也氏もこの範疇の役者さんのように思います。
どんどん脱線して行きますが、品川氏は平成のドラマ『白い巨塔』で加藤嘉氏と同じく東教授を演じておられます。
このキャスティングには個人的に大拍手でした。
高橋氏は先に『笑いの大学』を観ていなくてよかったと思いました(^^;
どんどんどんどん脱線して行きますが…
『容疑者』ではこの同じ範疇の品川徹氏と高橋昌也氏を同じような役柄でキャスティングされたに、「観覧車の男」を誤解されてしまったのではないかと、少し残念に思っています。

元に戻って

上記オマージュとしてあがっている宇野重吉氏演じる秋山の過去というのは、新妻をGHQによって殺されているというエピソードです。
「殺された」のか屈辱から「自殺」したのかは私には判断出来なかったのですが、秋山はその辛い過去を背負ってGHQに対して恨みを抱きそれを原動力に捜査に当たるのです。
妻の死について語るシーンがあるのですが、これが室井が過去の女性を語るということのリンクと言えばそう言えなくもありません。
愛する者の支えになってやれなかったという自責の念は味わったものでなければ分からないものなのかもしれません。

『日本列島』には当時の社会情勢と、それが生み出したいくつかの実際にあった事件が主人公達を軸にとにかく上手くまとまって描かれています。
戦後の犯罪史を学ぶ物としても、警察物としても見応えのある作品でした。
室井主役のスピンオフがまた次にあるとすれば、こういう作品も観てみたいと思います。
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