『点と線』

昨夜、録画しておいた『点と線』を一気に見ました。
私は松本清張氏の小説の中で『砂の器』に次いで好きな作品です。今までドラマ化も映画化もされいなかったのが不思議。映像化がむずかしかったのかもしれません。

中学三年生の時に父の本棚にあった『蒼ざめた礼服』を読み、松本清張という作家を知りました。高校受験のためにしばらく読めなかったのですが、高校生1年の夏休みに、第二作目として読んだのがこの『点と線』でした。
この時は友達の海の別荘にひとりで行くことになり、一人旅の退屈さを紛らわせようと持っていったのですが、むさぼるように読み、小説の世界に入り込んで主人公と一緒になって時刻表と格闘していたために、自分が降りるべき駅を3つも過ごしてしまったという思い出と共にこの小説は心に残っています。

さて、今回のドラマ。あの時の感動がまざまざと蘇って来ました。私の中にある松本清張の描く世界が壊されることなく、今考えうる最高の役者さん達によって演じられていることに感動してしまいました。

今までビートたけしさんの映画は好きではありませんでした。失礼ながら演技も私の好みではなかったのですが、今回の鳥飼刑事役は彼以外では演じられなかったのではないかと思えるほど嵌っていました。何しろ私がこの小説を読んだのは30年以上も前のことなので、原作の鳥飼刑事がどんなであったか覚えてはいません。でもたけしさんの演じる鳥飼刑事は、正しく松本清張が描く刑事そのものに思えました。

昭和32年。私が生まれた年です。最近娘とちょっとそんな話になって、「おかあさんって戦後すぐの生まれなのね。」と言われてびっくりしました。私は戦争も知らなければ、戦後の荒廃した様子も全くしりません。物心ついた時にはテレビがあり、新幹線や東京オリンピックが夢のように語られて、幼稚園の壁にもひかり号の大きな絵が描かれていました。
なので、戦後を引きずっている時代に生まれたという認識は全くなかったのです。でも平成も19年ともなると、昭和20年も32年もそんな変わりがない時代で、昭和の中ごろと一括りに言われてしまう時代になるのだなぁと、ちょっと不思議な感覚でした。

今この『点と線』をドラマ化して世に出す意義は大いにあるのだと思います。ノスタルジーではなく、ちゃんと知っておかねばならない現代史です。
ヒットしている映画『三丁目の夕日』には私はまったく懐かしさも感じませんでした(『2』はまだ観ていません)。どうも私は性格が捻くれているせいか、社会の裏を見たいと思ってしまいます。
・・・あの時代は良かった、人情があった。人と人との温もりがあった。でも今はそれがない・・・
そういう過去を美化して観ることが私には出来ません。松本清張氏の小説は、社会の裏にある汚さ、人の欲望の醜さを描き、それでもひたむきにそれに対峙しようとする人間を描いています。刑事であったり、新聞記者であったり、サラリーマンだったり。彼らの目を通して私達読者に事件の裏にあるものを、活字になっているものを疑う心を、真実を知ることの必要を教えてくれていました。
あれから50年経った今も世の中は何も変わっていません。この『点と線』を見て、今に置き換えることの出来る事件があるというのは悲しいことなのかもしれません。
「もはや戦後ではない」そう言って急激に経済発展して行った日本は、この時代にその体内に膿を孕み初めていたのかもしれません。

などと色々と考えながら久々に家族で観ることの出来た良いドラマでした。
高橋克典さんの演じる三原刑事はちょっとカッコ良すぎたかなぁ。
市原悦子さんの圧倒的な存在感に脱帽!博多東署を出る時に鳥飼と交わす視線と微妙な表情には鳥肌が立ちました。これは2度3度見て確かめて欲しいシーンです。
安田辰郎役の柳葉敏郎さん。代表作になるのではないでしょうか。『華麗なる一族』での三雲祥一役に続き、こういう渋い役が似合う役者さんになりました。声に色気があって、誠実さと冷酷さが同居するような複雑なインテリを演じたら右に出るものはいないんじゃないかと思います。このまま年を重ねて行って欲しい。
安田亮子役の夏川結衣さん。今回のドラマの成功不成功の半分はこの方に掛かっているのではないかと思えました。動きの少ない中での表情の演技、流石です。
他にも書きたい役者さんは一杯です。人気ではなく演技が上手い役者さんの起用がこのドラマに重みを与えていたと思います。

現代の三原刑事が声に出して泣くシーンは、『砂の器』の加藤嘉さんが演じるあるシーンへのオマージュかとも思いました。

実は今までテレビ朝日でドラマ化された松本清張原作のドラマはどれも観ていません。どうも私は女性主人公の物は好きではないようで(と他人事のようですが)、『わるいやつら』『黒皮の手帖』『けものみち』等原作を読んでいてもあまり記憶に残っていないのです。
出来れば、私が最初に松本清張氏に触れた『蒼ざめた礼服』や『黒い福音』『草の陰刻』などが観てみたいです。

しかし、テレビ朝日開局50周年記念がこの『点と線』、日本テレビ開局50周年記念が同じく松本清張原作の『鬼畜』。しかも主役も同じビートたけしさん。これはちょっとなぁと思ってしまいましたが・・・。
『鬼畜』は緒方拳さんのイメージが強いので、軍配はテレビ朝日に上がったような気がしています。
ドラマ | トラックバック(0) | コメント(2) | 2007/11/26(Mon) 17:14:10

ネットでの出会い『皇室の饗宴とボンボニエール』

皇室の饗宴とボンボニエール


ブログを書いていると、時にびっくりするようなことが起ります。

ちょうど2年前、『オドログ』の終了に伴ってFC2ブログとmixiを始めたのですが、その初期のころに書いた日記に先週コメントがつきました。
それは私が観にいった京都「思文閣美術館」で開催された「紀宮様御成婚記念 皇室のご慶事 銀のボンボニエール展」について書いたブログです。

参考日記
マスクルーシブな金平糖
ボンボニエール

そのころ紀宮様のご結婚のことでTVが賑わっており、引き出物に出された「ボンボニエール」を私は初めて目にし、興味を持ったのでした。
展覧会はとても満足がいくもので、益々ボンボニエールに対して興味が沸きました。ネットで色々調べようと思って帰って来たのですが、あまり詳しい情報は得られませんでした。展覧会場で発売されていた『皇室の饗宴とボンボニエール』(扇子忠氏著)と言う本を買わなかったことを後悔しました。アマゾンなどでも入手可能なようでしたが、2415円という価格に躊躇ったのです。

そしてそのことまでも日記に書いていました。
そしたら先週、このご本の著者である扇子忠さんからコメントがあったのです!
2年も前の日記にコメントがあったことにも驚きましたし、「送料込みで2000円で」というお申し出にも、本当にご本人なのかといぶかしく思いました。
そこで「ご本人でいらっしゃるのなら、是非是非購入したい」という旨をメールしましたところ、すぐに丁寧なご返事を頂き、しかも「進呈します」とまで書いて下さいました。

何度かメールでのやり取りをさせて頂き、昨日届いたのが、このご本です。写真右は当時の展覧会パンフレットです。

1101bon01.jpg


サインまで頂きました!

1101bon02.jpg


かなり専門的な本なので、著者の扇子氏は美術関係か皇室関係の学問を専攻される大学の教授かと思っていたのですが、コレクターであると知ってびっくりしました。
「コレクター以外の方にはご興味がないと思いますので写真だけでもご覧になるだけで結構です」と一筆添えられていたのですが、私は全て興味津々です。
単なる皇室とボンボニエールの歴史だけではなく、「金属工芸の歴史」にまで言及されており、私が知りたかった明治時代のボンボニエールに刻印されている制作会社のことも詳しく書かれていました。
「宮内庁御用達」に関してや、「宮家」「華族」に関してなど、皇室とその周辺に関しての記述を私は特に興味深く読ませて頂きました。

勿論掲げられているボンボニエールの写真はどれもこれも気品があって美しく、私などが絶対に招かれることのない煌びやかで厳かな皇室の饗宴にうっとりと思いを馳せて眺めています。

扇子忠氏はまた今本をご執筆中とのこと。発売されれば教えていただけると言うことで、今度はちゃんと本屋さんで購入させて頂きたいと思っています。但し、今度の本は趣味ではなくお仕事のお話だそうで、これもまた私には興味深い職種のようですので楽しみです。

こんなご縁をネットで得られたことがとても不思議で、そして本当に嬉しく心が温まりました。
いつも私はネットで知り合ったお友達に元気を貰っています。感謝。

徒然に | トラックバック(1) | コメント(4) | 2007/11/01(Thu) 16:30:08
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プロフィール

榊 真央

Author:榊 真央


趣味は「映画鑑賞」「読書」「宝塚観劇」です。12年来の『踊る大捜査線』フリークですので、観る映画や読む本もかなり偏っています(^^;かつては踊る大捜査線公式サイトの「オドログ」でブログを書いていました。
室井さんを信奉し、新城さんLOVE、そして俳優筧利夫さんに惚れてます!
香港俳優の故レスリー・チャンさんは永遠に色褪せない私の王子様。

2006年W杯後、思うところがあって、京都パープルサンガのファンクラブに入会しました。
なのに、応援しているのはガンバ大阪の加地亮選手!

『OD3』で室井さんと新城さんに会えるのを楽しみにしています・・・

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