『忍びの国』ネタバレ感想~その3~「日置大膳」

2017年07月17日 18:44

本日13回目を観る予定でしたが野暮用ができて行けず(;_;)
『忍びの国』サントラ聴きながら忍んでおります。

今日は日置大膳について…。映画を見て最初に泣いたのがこの信雄と大膳のシーンでした。こういう主従関係に昔から弱いんです。

また激しくネタバレですので下げます。




日置大膳。歴史の教科書では見慣れないお名前。原作者である和田竜さんは愛情を持ってこの人物を描いていらっしゃるように感じます。最初のオリジナル脚本では長野左京亮と大膳の役割が逆になっています。彼らのその後を考えるとこの映画のような描き方に落ち着いたということで、大膳がとてもかっこいい戦国武者になっています。

織田軍シーンと忍びのシーンでは全く違う2本の映画を観ているようでした。伊勢谷雄介さんもその佇まい、声、殺陣とどれをとっても素敵♪

いつも信雄の側に控える林豊前守と小滝新四郎。彼らは元々織田家家臣。長野左京亮が北畠具教に切られそうになった時、このふたりが刀に手を掛けた瞬間日置大膳は抜刀し、北畠具教を切ります。織田家家臣に切られるよりは我が手でという思いだったのだと思うと涙が・・・。

大膳は平気で二君に仕えるような武士ではないんです。それを強いた信雄に激しい恨みを持ってもしかたないこと。苦しい選択だったと思います。

ここで國村隼さん演じる北畠具教がすばらしい!剣の達人でもあり太刀さばきは重厚な時代劇の1シーンのようでした。あのジョン・ウー監督をして「君の眼が欲しい」と言わしめた鋭い目、にやりと笑った時のぞくぞくする男の色気。短いご出演でしたが流石の存在感!

「これより伊勢は織田家のものとなる。おのれも家臣を持つ身ならば、その者でもの安寧のみを考えよ。今後は織田家とともに生きるのだ」
名実ともに信雄の家来となれ、家臣の安寧のために復讐などしてはならない。これで良いのだ、という意味でしょうか。今際の際の主君の言葉。大膳は我を捨てて従うしかなかった。

その後、信雄に心から忠義を誓ったあのシーンはこの映画のクライマックスのひとつ。雄叫び上げる大膳に呼応していく家臣たち。私の最初の涙腺崩壊シーンです。知念侑李くんが信雄をヘタレに演じればこそのカタルシス。忍びとは全く違う死生観。金のためではなく忠義と誇りのために命を掛ける織田軍。本来時代劇ならこちらが主役でしょう。バックに流れるBGMもそのまま「日置大膳」!超かっこいい!!

長野左京亮かと見せかけて幟旗を一斉に変えるシーンも素敵だし、信雄を助けに戻って来るシーンも素敵。この映画でのかっこいい役割を一手に引き受けている感じの日置大膳。

無門を思って泣けて泣けてしかたなかった私は未だにラストを思い出すと泣けてきます。このお話のその後を考えるに無門は決してもう人は殺めていないと思います。人らしい仕事に就いたんじゃないかな。で、それを助けてくれたのが大膳ではないか、なんて妄想すると、無門の晩年は幸せだったと思えて辛さがなくなりました。単なる妄想だけど(笑)

ラストで大膳が「人でなしが人にでもなったつもりか」と笑いながら言いますが、少しは本気でそう思っていたのではないかな。自分に、平兵衛を伊勢に埋めてやってくれと頼んだり、信雄の命を助けたり。ちょっと人でなしでない片鱗が見えましたから。

原作にある『勢州軍記』によると大膳はその後「小牧・長久手の合戦」で信雄の家臣として、家康と共に秀吉と戦っています。合戦後、大膳の戦いぶりに惚れ込んだ家康から家臣にしたいと言われ、信雄は泣く泣く大膳を手放し、大膳は家康の家臣となったといいます。でも理由が分からないけれど大膳はその後まもなく死んだのだそうです。

もしかしたら大膳は「忠臣は二君に仕えず」の言葉どおり家康に仕えることを良しとしなかったために自害したのではないかと妄想しました。彼にとっての唯一の主君は北畠具教。その具教の遺言として信雄に仕えはしました。でもその信雄といつか袂を別ち敵となるであろう家康に仕えることは出来なかったのではないでしょうか。

そんな大膳が世を去る前に、無門親子を家康(あるいはその家臣)に引き合わせていたとしたら。そしてその忍びの術を買われ家臣に加えられたとしたら。無門はしがない忍びでも、その子は徳川の武士として成長したら…。そんなことを妄想しました。やはりあのラストは尾を引くのです。お国が大切にしたふたりの命。それをこの日置大膳によって救われたのなら、私の心の中で物語はハッピーエンド。

写真は映画公開前に大ヒットを祈願して大野神社に奉納した絵馬です♪
大野神社絵馬
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